動画マーケティング読了 9分

動画マーケティング活用ロードマップ — 集客から成約まで、動画はどこで効くか

特集「動画マーケティング活用ロードマップ」第1回

BtoBの売れる流れを6つの段階に分け、それぞれで動画が担う役割、合う動画の種類と尺、効果測定の指標を一覧にしました。1本を複数の段階で使い回す方法と、どこから始めるかの決め方もまとめています。

動画マーケティング活用ロードマップ — 集客から成約まで、動画はどこで効くか
目次
  1. この記事でわかること
  2. 動画の種類からではなく、売れる流れから考える
  3. 6つの段階に動画の役割を重ねた全体図
  4. 段階ごとの一覧 — 役割、合う動画と尺、効果測定の指標
  5. 段階ごとの動画の使い方 — いまある手段に動画を添える
  6. 1本を複数の段階で使い回す
  7. どの段階から始めるか — いちばん詰まっている段階から
  8. 動画が向かない場面も決めておく
  9. よくある質問
  10. まとめ
  11. 関連記事

動画を作ろうという話になったとき、最初に出てくるのは「会社紹介動画を作るか、サービス紹介動画を作るか」といった種類の話ではないでしょうか。ところが、種類から考え始めると、作った動画をどこで誰に見せるのかが後回しになりがちです。

この特集では、順番を逆にします。先にBtoBの売れる流れを6つの段階で整理し、その流れのどこで、どの手段に、どんな動画を添えるかを考えていきます。

前回の第0回では、動画の話をせずに、BtoBのデジタルマーケティング全体を集客、接点づくり、コミュニケーション、セミナー・イベント、商談・成約、成約のあとの6段階で整理しました。第1回となるこの記事では、その地図の上に動画の役割を重ね、段階ごとに合う動画と効果測定の指標を一覧にします。


この記事でわかること

  1. 6つの段階と動画の役割の全体図 — 売れる流れのどこで動画が効くか
  2. 段階ごとの一覧 — 動画の役割、合う動画の種類と尺、効果測定の指標
  3. 1本を複数の段階で使い回す考え方 — インタビュー動画を例に
  4. どの段階から始めるかの決め方 — いちばん詰まっている段階から

動画の種類からではなく、売れる流れから考える

BtoBで使う動画の種類は、BtoBで使う動画の種類と選び方で9種類に分けて整理しました。そちらは、会社紹介、サービス紹介、導入事例といった動画の種類から見た整理です。どの種類が購買のどの段階に向いているかを、種類の側から確かめるのに向いています。

この記事は、反対側から見ます。売れる流れの段階と、その段階で使っている手段(検索、メール、ウェビナー、商談など)を先に置き、そこに動画を足すと何が変わるかを考える整理です。

見方出発点答えられる問い
種類から見る動画の種類この種類の動画は、どの段階で使えるか
流れから見る段階と手段この段階のこの手段に、どんな動画を添えるか
見方 — 種類から見る出発点動画の種類答えられる問いこの種類の動画は、どの段階で使えるか
見方 — 流れから見る出発点段階と手段答えられる問いこの段階のこの手段に、どんな動画を添えるか

流れから見ると、すでにある施策に動画を足す形で考えられます。新しい施策を一から立ち上げなくても、いま送っているメールや、いま開いているウェビナーに動画を組み込めばよいわけです。社内の合意も取りやすく、効果を前後で比べやすいのも、この見方の利点だと考えています。


6つの段階に動画の役割を重ねた全体図

第0回の6つの段階に、それぞれで動画が担う役割を重ねたのが次の図です。

集客、接点づくり、コミュニケーション、セミナー・イベント、商談・成約、成約のあとの6段階に、見つけてもらう、理解してもらう、思い出してもらう、深く知ってもらう、社内で説明してもらう、使いこなしてもらうという動画の役割を重ねた図
集客、接点づくり、コミュニケーション、セミナー・イベント、商談・成約、成約のあとの6段階に、見つけてもらう、理解してもらう、思い出してもらう、深く知ってもらう、社内で説明してもらう、使いこなしてもらうという動画の役割を重ねた図

段階ごとの役割を短く言うと、次のようになります。

  • 集客 — 自社を知らない人に、見つけてもらう
  • 接点づくり — サイトに来た人に、短い時間で理解してもらい、資料や問い合わせへ進んでもらう
  • コミュニケーション — メールや電話のやり取りの中で、検討を思い出してもらう
  • セミナー・イベント — まとまった時間で、深く知ってもらう
  • 商談・成約 — 担当者が、上長や決裁者に社内で説明できるようにする
  • 成約のあと — 使い始めた顧客に、使いこなしてもらう

前半の段階ほど多くの人に短く届け、後半の段階ほど少ない人に長く詳しく届ける、という傾きがあります。同じ動画を全段階で使おうとすると、どこかで長すぎるか短すぎるかになるのはこのためです。


段階ごとの一覧 — 役割、合う動画と尺、効果測定の指標

6つの段階それぞれについて、合う動画の種類と尺の目安、効果測定の指標を一覧にしました。尺は動画制作の現場で一般的な目安で、内容や置き場所によって前後します。

段階動画の役割合う動画と尺の目安効果測定の指標
集客見つけてもらうショート動画15〜60秒、動画広告6〜30秒、課題解説3〜15分表示回数、再生数、サイトへの流入
接点づくり理解してもらい、次へ進めてもらうサービス紹介1〜3分、導入事例2〜5分資料ダウンロード数、問い合わせ数、フォームの完了率
コミュニケーション思い出してもらう営業動画3〜5分、短い解説1〜3分メールのクリック、視聴の完了、面談の設定数
セミナー・イベント深く知ってもらうウェビナーの録画、展示会のループ動画申込数、参加率、視聴時間、参加後の面談数
商談・成約社内で説明してもらう営業動画3〜5分、導入事例2〜5分、経営者メッセージ2〜5分商談化率、成約率、検討期間
成約のあと使いこなしてもらう操作説明1操作1〜3分、活用事例利用の定着、問い合わせ件数の変化、継続率
段階 — 集客動画の役割見つけてもらう合う動画と尺の目安ショート動画15〜60秒、動画広告6〜30秒、課題解説3〜15分効果測定の指標表示回数、再生数、サイトへの流入
段階 — 接点づくり動画の役割理解してもらい、次へ進めてもらう合う動画と尺の目安サービス紹介1〜3分、導入事例2〜5分効果測定の指標資料ダウンロード数、問い合わせ数、フォームの完了率
段階 — コミュニケーション動画の役割思い出してもらう合う動画と尺の目安営業動画3〜5分、短い解説1〜3分効果測定の指標メールのクリック、視聴の完了、面談の設定数
段階 — セミナー・イベント動画の役割深く知ってもらう合う動画と尺の目安ウェビナーの録画、展示会のループ動画効果測定の指標申込数、参加率、視聴時間、参加後の面談数
段階 — 商談・成約動画の役割社内で説明してもらう合う動画と尺の目安営業動画3〜5分、導入事例2〜5分、経営者メッセージ2〜5分効果測定の指標商談化率、成約率、検討期間
段階 — 成約のあと動画の役割使いこなしてもらう合う動画と尺の目安操作説明1操作1〜3分、活用事例効果測定の指標利用の定着、問い合わせ件数の変化、継続率

表の尺は、置き場所によって変わります。同じ導入事例でも、サービスページに置くなら短め、商談で見てもらうなら長めといった調整が必要です。


段階ごとの動画の使い方 — いまある手段に動画を添える

ここからは、段階ごとに、いま使っている手段のどこに動画を添えるかを見ていきます。手段ごとの細かな使い方は、次回以降の各回で1段階ずつ掘り下げる予定です。

集客 — 見つけてもらう

検索、Web広告、SNS、YouTubeチャンネルが主な手段です。総務省の「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(13〜79歳の1,800人、2025年12月1日〜7日)では、YouTubeの利用率は全年代で81.5%、40代で91.6%、50代で84.9%でした。個人としての利用を聞いた数字ですが、仕事で判断に関わる年代の多くが、日ごろから動画に触れていることがわかります。

広告でも動画の比重は増えています。サイバーエージェントの「2025年 国内動画広告の市場調査」(2026年3月9日発表)では、2025年の動画広告市場は前年比122.2%の8,855億円と推計されました。BtoCを含む市場全体の出稿額である点には注意が必要です。

集客の動画は、その動画だけで問い合わせまで進めることを狙うより、名前を覚えてもらい、サイトに来てもらうところまでを役割と考えるほうが、評価がぶれにくくなります。

接点づくり — 理解してもらい、次へ進めてもらう

サービスページやLP、資料ダウンロードのページに、短いサービス紹介動画や導入事例動画を置きます。文章を読む前に、何のサービスで、誰に向いているかを1〜3分で伝えられるのが、この段階での動画の強みです。動画の下に資料ダウンロードや問い合わせのボタンを置き、見たあとの行動を1つに絞っておきます。

サービス紹介動画の例として、サイボウズがキントーンの公式チャンネルで公開している動画を挙げます。キントーンを2分ほどで紹介する動画です。

出典 2分でわかるキントーン動画(kintone YouTube公式チャンネル)

コミュニケーション — 思い出してもらう

メルマガやステップメール、インサイドセールスのあとのメールに、動画のリンクを添えます。文字だけのメールより、担当者の顔と声が伝わる動画のほうが、相手の記憶に残りやすいはずです。メールに動画を埋め込むことはできない場合が多いため、サムネイル画像とリンクで送るのが基本になります。

セミナー・イベント — 深く知ってもらう

ウェビナーは、それ自体が動画です。ライブ配信を録画しておけば、参加できなかった申込者への送付や、テーマごとの切り出しに使えます。展示会では、ブースの前を通る人に足を止めてもらう短いループ動画が役に立ちます。

商談・成約 — 社内で説明してもらう

BtoBの購買では、担当者が上長や決裁者に説明して合意をつくるのが一般的です。商談前に送る営業動画や、比較の段階で見てもらう導入事例動画は、担当者の代わりに社内で説明してくれる資料として働きます。導入事例動画そのものの作り方は、導入事例動画の作り方を5ステップで解説で扱っています。

この段階の動画は、再生回数がとても少ないのが普通です。数十回の再生でも、商談の中で使われていれば役割を果たしていると考えてよいでしょう。

成約のあと — 使いこなしてもらう

操作説明やオンボーディングの動画は、1つの操作につき1本の短い動画にしておくと、ヘルプページや問い合わせの返信で使い回せます。サポートへの問い合わせが減るかどうかが、わかりやすい評価の軸です。



1本を複数の段階で使い回す

段階ごとに別々の動画を撮っていては、予算も手間も足りません。そこで考えたいのが、1回の撮影の素材を、編集で複数の段階向けに分けて使う方法です。

1回のインタビュー撮影から、集客用のショート動画、接点づくり用の事例ページの動画、商談前に送る動画、成約のあとの活用事例へ展開する流れを示した図
1回のインタビュー撮影から、集客用のショート動画、接点づくり用の事例ページの動画、商談前に送る動画、成約のあとの活用事例へ展開する流れを示した図

たとえば、顧客や自社の担当者に30分から1時間ほど話を聞くインタビューを撮影した場合を考えてみましょう。その素材からは、次のような動画を作れます。

  • 集客向け — 印象に残る一言を切り出した15〜60秒の縦型ショート動画
  • 接点づくり向け — 導入の経緯と変化をまとめた2〜5分の動画を、事例ページに置く
  • 商談・成約向け — 相手の業種や課題に近い部分だけを抜き出した短い動画を、商談前のメールで送る
  • 成約のあと向け — 使い方の工夫を話している部分を、既存顧客へのお知らせや活用事例のページで紹介する

使い回すには、撮影の前の準備が欠かせません。どの段階のどの動画で使う話かを質問の段階で分けておくこと、縦にも切り出せる構図で撮ること、出演者にどの用途で使うかを説明して承諾を得ておくことの3つです。納品後の展開の方法は、インタビュー動画の納品後の二次活用で詳しく紹介しています。


どの段階から始めるか — いちばん詰まっている段階から

6つの段階すべてに動画をそろえる必要はありません。最初の1本は、いちばん詰まっている段階に置くのがおすすめです。詰まっている段階は、次のように見当をつけられます。

  1. サイトへの流入が少ない — 集客の段階で、ショート動画や動画広告、YouTubeでの発信が候補になる
  2. 流入はあるのに、資料ダウンロードや問い合わせが少ない — 接点づくりの段階で、サービスページに短い紹介動画を置く
  3. リードはあるのに、面談につながらない — コミュニケーションの段階で、メールに営業動画を添える
  4. セミナーの参加者が商談に進まない — セミナー・イベントの段階で、録画の送付と、参加後に見てもらう動画を用意する
  5. 商談は多いのに、決まらない — 商談・成約の段階で、社内説明に使える導入事例や営業動画を用意する
  6. 契約後の問い合わせが多い、続けてもらえない — 成約のあとの段階で、操作説明の動画をそろえる

判断の材料は、第0回で整理した段階ごとの数字です。前の段階から次の段階へ進む割合がいちばん低いところに動画を置けば、前後の数字を比べて効果を確かめやすくなります。

始める段階が決まったら、年間の予算の配分も考えておきましょう。初年度は長く使える柱の動画と測る仕組みに、2年目は素材の展開と更新に配分を移すといった考え方は、動画マーケティングの予算の決め方で解説しています。


動画が向かない場面も決めておく

段階ごとに動画を考えていくと、どこにでも動画を足したくなるものです。ただ、文章や資料のほうが向いている情報もあります。

  • 見比べるための情報 — 価格表、仕様の一覧、機能の比較表は、文書で並べたほうが比べやすい
  • 頻繁に変わる情報 — 料金やキャンペーンのように、すぐに古くなる内容を動画に入れると、作り直しが増える
  • 相手ごとに違う内容 — 見積もりや個別の提案は、動画より資料と打ち合わせのほうが確実

動画で興味と納得をつくり、詳細は資料やページで確かめてもらうという分担を決めておくと、作る本数も絞りやすくなるでしょう。動画マーケティング全体の進め方は、BtoBの動画マーケティングの進め方にまとめています。


よくある質問

Q1. 動画の種類で選ぶ方法と、流れの段階で選ぶ方法は、どちらがよいですか?

どちらか一方ではなく、使う場面で分けるのがおすすめです。これから動画の取り組みを始める、または立て直すときは、流れの段階から考えると、既存の施策とのつながりがはっきりします。作る段階が決まったあとで、その段階に合う種類を選ぶときに、種類からの整理が役に立ちます。

Q2. 予算が少なく、1本しか作れない場合はどうしますか?

いちばん詰まっている段階に置く1本を作り、撮影の段階で別の段階にも使える素材を撮っておくのが現実的です。たとえば接点づくりのためのサービス紹介動画を作るとき、短く切り出せる場面を撮っておけば、集客向けのショート動画にも使えます。

Q3. 段階ごとに動画の担当者を分けたほうがよいですか?

動画を使う担当は、段階ごとの施策の担当者に任せるのが自然です。集客はマーケティング、商談は営業、成約のあとはカスタマーサポートといった形です。一方で、撮影の計画と素材の管理は1か所にまとめておくと、使い回しがしやすくなります。


まとめ

主要ポイント

  1. 動画は種類からではなく、売れる流れから考える — 段階と手段を先に置き、そこに動画を添える
  2. 段階ごとに動画の役割が違う — 見つけてもらう、理解してもらう、思い出してもらう、深く知ってもらう、社内で説明してもらう、使いこなしてもらう
  3. 前半は短く多くの人へ、後半は長く少ない人へ — 効果測定の指標も段階ごとに変える
  4. 1回の撮影から複数の段階向けの動画を作る — 質問、構図、承諾の範囲を撮影前に決める
  5. 最初の1本は、いちばん詰まっている段階に置く

次のステップ

  • 自社の段階ごとの数字を並べ、いちばん詰まっている段階を1つ選ぶ
  • その段階で使っている手段を書き出し、動画を添えられる場所を探す
  • 予定している撮影があれば、その素材を使える段階を2つ以上挙げておく

次回以降は、集客から成約のあとまで、1回に1段階ずつ、手段ごとの動画の使い方を掘り下げていきます。動画マーケティングの計画づくりに使える資料は、ホワイトペーパー一覧からダウンロードできます。


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参考ソース
#動画マーケティング#BtoBマーケティング#動画活用#マーケティングファネル

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