特集「動画マーケティング活用ロードマップ」の第3回は【接点づくり】です。接点づくりは、サイトに来てくれた人に名乗ってもらい、連絡が取れる関係にする段階を指します。一般にはリード獲得と呼ばれる部分です。
集客で人が来るようになっても、資料請求や問い合わせが増えないことはよくあります。来た人は興味がないわけではなく、「名乗ったら営業の電話がかかってくるのでは」「資料をもらっても役に立つか分からない」と迷っている場合が少なくありません。この段階の動画が担うのは、その迷いを名乗る直前に1つずつ減らすことです。
この記事では、接点づくりの場所を5つに分け、場所ごとに動画が効く理由、合う動画と尺、置き方の例、効果測定の指標、注意点を同じ順番で整理しました。最後に、名乗ってくれた人を次の段階へ渡す方法もまとめています。
この記事でわかること
- 接点づくりの段階で動画が担う役割 — 名乗る直前の迷いを減らす
- 5つの場所ごとの使い方 — サービスページ、LP、資料ダウンロード、フォーム、メルマガ登録
- 場所ごとの比較表 — 動画の役割、合う動画と尺、効果測定の指標
- 接点づくりでよくある失敗と対処
- 次の段階への受け渡し — 名乗ってくれた人に、どの動画を見たかを引き継ぐ
接点づくりの段階で動画が担う役割
この段階の相手は、すでにサイトに来ています。集客の段階との違いは、相手が自分から情報を探しに来ている点です。Glisが2026年7月にBtoBの購買に関わった300人に聞いた調査では、検討中に参照したものとして最も多かったのが「公式サイトの製品・サービス紹介ページ」で、56.7%でした。比較サイトやランキングサイトの39.7%を上回っています。サイトは、検討する人がまず確かめに来る場所だといえそうです。
その場所で名乗ってもらえない理由は、多くの場合、次のどれかです。
- 何ができるのか、すぐに分からない
- 自分の会社に関係があるのか、判断できない
- 名乗ったあとに何が起きるのか、見えない
動画は、文字で読むと時間がかかる中身を短く見せられます。顔や声で、問い合わせた先にいる人の様子も伝えられます。ここで測るのは、資料ダウンロード数、問い合わせ数、フォームの完了率です。動画の再生数はその手がかりとして見ます。

自社サイト・サービスページ — 何ができるかを短く見せる
動画が効く理由
サービスページに来た人が最初に知りたいのは、「このサービスで何ができて、自分の仕事がどう変わるか」です。業務の流れやシステムの画面のように、文章で説明すると長くなる中身ほど、動画で見せる効果が出やすくなります。反対に、一言で伝わるサービスなら、動画より見出しと図のほうが早く伝わることもあるでしょう。
合う動画と尺
60〜90秒程度の横長のサービス紹介や、画面の操作を見せるデモ動画が合います。最初の数秒で、誰のどんな課題に向けたサービスかを言い切る構成にしておきましょう。
例として、セールスフォース・ジャパンが公式チャンネルで公開している、営業支援の製品「Sales Cloud」で何ができるかを4分ほどで紹介する動画を挙げます。ここで挙げた60〜90秒より長いため、サービスページに置くなら、要点の部分を短く切り出す使い方も考えられます。
出典 3分でわかる Sales Cloud (セールスクラウド)とは?|Salesforce(セールスフォース・ジャパン YouTube公式チャンネル)
置き方の例
ページの最初の画面の中か、そのすぐ下に置き、動画の直後に「資料をダウンロード」「問い合わせ」のボタンを並べます。会社紹介やブランドを伝える動画をトップページに置く場合の配置の考え方は、企業ブランディング動画の役割で詳しく扱っています。
効果測定の指標
動画の再生数と最後まで見られた割合、動画を見た人と見なかった人で、資料ダウンロードや問い合わせの割合を比べてみてください。Googleアナリティクス4の拡張計測機能では、JavaScript APIが有効になっているYouTubeの埋め込み動画について、再生の開始、10%・25%・50%・75%までの進み具合、終了が記録されると案内されています。
注意点
Googleの「動画の SEO ベスト プラクティス」では、製品の動画を載せた製品ページは、動画の再生を主な目的とする「動画再生ページ」には当たらないと説明されています。サービスページの動画は、検索で見つけてもらうためではなく、来た人の理解を助けるためのものと割り切りましょう。検索向けの再生ページは自社サイトの動画SEOを参考に、別に用意します。
LP — 来た理由とページの中身をそろえる
動画が効く理由
LP(ランディングページ)は、広告や動画、メールから来た人を受け止めて、資料請求や問い合わせなど1つの行動に絞って案内するページです。来た人は、直前に見た広告や動画の続きを期待しています。同じ人や同じ話がページにも出てくると、「さっきの続きだ」と分かり、読み進めてもらいやすくなるでしょう。
合う動画と尺
集客で使った動画の続きにあたる30秒〜2分程度の動画が合います。広告から来る人の多くはスマートフォンなので、縦長や正方形の版も用意しておくと、画面の中で動画が小さくなりすぎません。向きごとの特徴は動画の縦横比の選び方にまとめています。
置き方の例
広告で話した課題を見出しにもう一度書き、その下に動画、さらにその下にフォームか資料のボタンを置きます。動画とページの組み合わせ方は、採用向けの例ですが採用動画と採用LPの相乗効果も参考になるはずです。
効果測定の指標
LPに来た数に対するフォームの送信数、動画の再生率、ページの途中で離れた位置を見ます。
注意点
自動再生にするなら、音なしが前提です。Chromeの自動再生ポリシーでは、ミュートされた自動再生は常に許可されていますが、音のある自動再生には条件があります。Glisの調査でも、業務中に動画をミュートで見ることが「よくある」「ときどきある」と答えた人は合わせて51.0%でした。字幕やテロップで、音がなくても伝わるようにしておきます。
資料ダウンロード — 資料の中身を先に見せる
動画が効く理由
資料をダウンロードするには、会社名やメールアドレスを入力する必要があります。入力する側は、その手間に見合う中身かどうかを、申し込む前に知りたいはずです。資料の数ページを動画で見せたり、資料を作った人が要点を話したりすれば、申し込む前の不安は小さくなるはずです。
合う動画と尺
30〜60秒程度の、資料の目次や中の図をめくって見せる動画が合います。調査レポートなら、調査をした人が「何が分かったか」を1つだけ話す動画も向いています。
置き方の例
置き場所は、申し込みページのフォームの横か上が基本です。ウェビナーの録画や詳しい解説動画そのものを、名乗ってもらう代わりに見られる資料として扱う方法も考えられます。この場合は、見られる内容と時間をページに書いておくと、申し込む人が判断しやすくなるでしょう。
効果測定の指標
申し込みページに来た数に対する申し込み数、つまりフォームの完了率と、動画の再生率を見ます。
注意点
資料の中身を見せすぎると、申し込まなくても目的が済んでしまいます。見せるのは目次と一部の図までにとどめ、肝心の結論や数字は資料の中に残しておくのが無難です。
問い合わせ・見積もりフォーム — 送ったあとの流れを見せる
動画が効く理由
問い合わせや見積もりのフォームまで来た人は、かなり前向きです。それでも送信をためらうのは、送ったあとに何が起きるか見えないからでしょう。誰が、いつ、どんな方法で連絡してくるのかを、担当者本人が話す短い動画で見せると、その不安を和らげられます。
合う動画と尺
30〜60秒程度の、担当者が顔を出して話す横長の動画が合います。話す内容は「送信後、何営業日以内に、誰が、どんな方法で連絡するか」「最初の打ち合わせで何を話すか」の2点に絞るのがおすすめです。
置き方の例
フォームの上に置き、動画の下に同じ内容を文章でも短く書きます。送信後の完了ページには、次に見てほしい動画を1本置いておくと、返事を待つ間に理解を深めてもらえます。
効果測定の指標
見るのは、フォームを開いた数に対する送信数と、入力の途中で離れた項目です。
注意点
フォームの近くに長い動画を置くと、入力から気がそれてしまいます。フォームの横は短い動画1本に絞りましょう。動画で約束した連絡の期限は、実際の対応体制で守れる内容にしておく必要があります。
メルマガ登録 — 何が届くかを見せる
動画が効く理由
メルマガの登録は、資料ダウンロードよりも気軽な名乗り方です。ただ、「どんなメールが、どのくらいの頻度で届くのか」が分からないと、受信箱が埋まるのを嫌って登録されません。届くメールの実物や、過去に紹介した動画の一部を見せると、登録したあとの姿が想像しやすくなります。
合う動画と尺
15〜30秒程度の、届くメールの例と、紹介している動画の一部を見せる短い動画が合います。
置き方の例
ブログ記事の最後や、資料ダウンロードの完了ページなど、すでに内容に関心を持っている人が見る場所に、登録フォームと一緒に置くと効果的です。
効果測定の指標
登録数と、登録した人の最初の数通の開封とクリックを見ます。
注意点
広告や宣伝を含むメールの送信は、特定電子メール法で、あらかじめ同意した人にだけ送るオプトイン方式が原則です。総務省のパンフレット「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」では、同意を取ったときの記録の保存や、送信者の表示も求められています。資料ダウンロードのフォームでメルマガの同意をまとめて取る場合は、同意の項目を分かるように示しておきましょう。
場所ごとの比較
5つの場所を並べると、次のようになります。
| 場所 | 動画の役割 | 合う動画と尺 | 効果測定の指標 |
|---|---|---|---|
| サービスページ | 何ができるかを見せる | 紹介やデモ、60〜90秒程度 | 動画を見た人の問い合わせ率 |
| LP | 来た理由と中身をそろえる | 集客の続き、30秒〜2分程度 | フォームの送信数 |
| 資料ダウンロード | 資料の中身を先に見せる | 目次や図を見せる、30〜60秒程度 | フォームの完了率 |
| 問い合わせ・見積もりフォーム | 送ったあとの流れを見せる | 担当者が話す、30〜60秒程度 | フォームの送信数 |
| メルマガ登録 | 何が届くかを見せる | メールの例、15〜30秒程度 | 登録数、最初の開封 |
全部の場所に一度に動画を置く必要はありません。アクセス解析で、来ているのに名乗ってもらえていないページを探し、そこから始めるのが近道です。
接点づくりでよくある失敗と対処
動画の再生数だけを見ている
接点づくりの動画は、再生されても名乗ってもらえなければ役割を果たしていません。動画を見た人と見なかった人で、資料ダウンロードや問い合わせの割合を比べるようにします。差がなければ、動画の中身か置き場所を見直す合図です。
ページが重くなる
動画をいくつも埋め込むと、ページの表示が遅くなることがあります。Chrome for DevelopersのLighthouseの解説では、YouTubeの埋め込みプレーヤーのような外部の部品を、最初は軽い画像で表示しておき、クリックされてから読み込む方法が紹介されています。1ページに置く動画は、役割のはっきりした1〜2本に絞りましょう。
集客の動画をそのまま置く
集客のための動画は、知らない人の手を止めるために作られています。サイトに来た人はすでに関心を持っているので、同じ動画では物足りなく感じることがあります。集客の動画の続きとして、もう一歩具体的な中身を見せる動画を用意しておきたいところです。
名乗ってくれたあと、何も届かない
資料をダウンロードした人に、自動返信のメールだけが届いて終わる例は少なくありません。名乗ってくれた時点が、関係の始まりです。次の段階への受け渡しまでを、接点づくりの設計に含めておきます。
次の段階への受け渡し
名乗ってくれた人は、次の【コミュニケーション】の段階で、メールや電話でやり取りを続ける相手になります。受け渡しのときに、その人がどの動画を見て、何に関心を持ったかを引き継げると、最初の連絡の中身を合わせやすくなります。

- どの動画を見たかを記録する — フォームに流入元や見たページを記録する欄を用意し、名乗ってくれた人の情報と一緒に残す
- 完了ページと自動返信メールで、次の動画を届ける — 資料の要点を話す動画や、担当者のあいさつ動画を1本添える
- 営業や担当者に、関心の手がかりを渡す — 「サービスのデモ動画を最後まで見た」「料金のページから来た」など、最初の連絡で話す内容の手がかりにする
よくある質問
Q1. 動画はYouTubeに置いて埋め込むのと、自社で配信するのと、どちらがよいですか?
始めやすいのはYouTubeの埋め込みです。限定公開にすれば、URLを知っている人だけが見られる状態でサイトに置けます。視聴の細かいデータを自社で持ちたい場合や、広告や関連動画の表示を避けたい場合は、自社での配信や動画配信サービスの利用も検討してください。
Q2. フォームの項目を減らすのと、動画を置くのと、どちらを先にやるべきですか?
フォームの項目が多すぎるなら、先に項目を見直すほうが手間も費用もかかりません。そのうえで、送信をためらう理由が「送ったあとが見えない」ことにありそうなら、動画を足すと効果を確かめやすくなります。
Q3. 資料の代わりに動画を配る場合、どのくらいの長さがよいですか?
ウェビナーの録画のように長いものでも構いませんが、申し込みページに長さと中身の目次を書いておくことをおすすめします。長い動画は、章ごとに区切って見たいところから見られるようにしておくと、最後まで役立ててもらいやすくなります。
まとめ
主要ポイント
- 接点づくりの動画は、名乗る直前の迷いを減らすためのもの — 測るのは資料ダウンロード数、問い合わせ数、フォームの完了率
- サービスページは、何ができるかを短く見せる — 検索用の再生ページとは分けて考える
- LPは、来た理由とページの中身をそろえる — 自動再生は音なしと字幕が前提
- 資料ダウンロードは、中身を先に少しだけ見せる
- フォームは、送ったあとの流れを担当者が見せる
- メルマガ登録は、何が届くかを見せ、同意の取り方を守る
- どの動画を見たかを記録し、次の段階へ渡す
次のステップ
- アクセス解析で、来ているのに名乗ってもらえていないページを1つ探す
- そのページで来た人が迷っていそうなことを書き出し、動画で見せる中身を決める
- 動画を見た人と見なかった人を比べられるように、計測の準備をする
動画マーケティングの段階ごとの進め方は、資料にまとめていく予定です。現在公開している資料はホワイトペーパー一覧からご覧いただけます。次回は、名乗ってくれた人とメールや電話でやり取りを続ける【コミュニケーション】の段階で、動画の添え方を整理します。
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参考ソース
- BtoB購買関与者300名に聞いた 導入事例コンテンツの意思決定への影響(株式会社Glis、2026年7月31日実査) — 検討中に参照したもの(公式サイトの製品・サービス紹介ページ56.7%、比較サイト・ランキングサイト39.7%)、業務中のミュート視聴(「よくある」「ときどきある」の合計51.0%)
- 動画の SEO ベスト プラクティス(Google 検索セントラル) — 動画再生ページの定義と、再生ページに当たらない製品ページの例
- 拡張計測機能イベント(アナリティクス ヘルプ) — YouTube埋め込み動画の再生開始、進み具合、終了のイベント
- Chrome の自動再生ポリシー(Chrome for Developers) — ミュートされた自動再生と、音声付きの自動再生の条件
- ファサードを使用したサードパーティ リソースの遅延読み込み(Chrome for Developers) — YouTubeの埋め込みプレーヤーの遅延読み込み
- 動画のプライバシー設定を変更する(YouTubeヘルプ) — 公開、非公開、限定公開の違い
- 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント(総務省) — オプトイン方式、同意の記録の保存、表示義務
- 3分でわかる Sales Cloud (セールスクラウド)とは?|Salesforce(セールスフォース・ジャパン YouTube公式チャンネル) — 製品で何ができるかを紹介する動画の例

