YouTubeで発信しているのは、もうYouTuberだけではありません。ビジネス系のメディア、報道機関、政党や政治家も、YouTubeで番組や会見を届けるようになりました。番組の質も上がり、テレビ番組と並べて見られるような作りのものも増えてきました。
こうした流れを見て、私たちGlisは企業の動画マーケティングも、YouTubeを軸に組み立てるのがよいと考えています。ただ、それは「YouTubeで人気番組を作りましょう」という話ではありません。
この記事では、動画制作会社の立場から、企業がYouTubeを軸にするとよい理由と、用途ごとの使い方、始め方をまとめました。チャンネルを続けるための運用の細部は、BtoB企業のYouTube運用で詳しく扱っています。
この記事でわかること
- YouTubeでの発信の広がり — エンタメ以外の使われ方と、利用率の調査
- 企業に求めたいこと、求めていないこと — すごい番組を作る必要はない
- 動画が会社の魅力を引き出す6つの用途
- YouTubeを軸に置く4つの根拠 — 検索、自社サイトへの埋め込み、限定公開、パソコンでの見やすさ
- 採用、営業、サービス説明での使い方と、始め方
YouTubeでの発信は、エンタメの外にも広がっています
総務省情報通信政策研究所の「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(13歳から79歳の男女1,800人が対象、2025年12月に実施)では、YouTubeを利用していると答えた人は全年代で81.5%でした。年代別に見ると40代で91.6%、50代でも84.9%にのぼります。
企業の担当者や決裁者にあたる世代も、日常的にYouTubeを開いているわけです。同じ調査で、Instagramの利用率は54.8%、TikTokは36.7%でした。
利用者が多いだけでなく、YouTubeで届けられる内容の幅も広がりました。経済ニュースの解説、経営者の対談、記者会見の中継、政策の説明など、以前ならテレビや紙面が担っていた情報が、いまはYouTubeでも見られます。YouTubeは、娯楽を見る場所であると同時に、情報を調べる場所にもなっていると私たちは受け止めています。
求めているのは、すごい番組ではありません
「企業もYouTubeを」と聞くと、身構える方が多いかもしれません。毎週の企画会議、YouTuberのような体当たりの企画、スタジオで撮るかっこいいビジネス番組。そうしたものを思い浮かべると、自社には無理だと感じるのも自然なことでしょう。
私たちがおすすめしたいのは、そういう話ではありません。エンタメ企画に挑戦してほしいわけでも、洗練されたインタビュー番組を必ず作ってほしいわけでもないのです。
YouTubeを軸にするというのは、会社が作る動画の置き場所と届け方を、YouTubeを中心にそろえるということです。チャンネル登録者を増やすことが目的ではありません。採用サイトに載せる社員インタビューも、営業が送るサービス説明も、お客様向けの操作説明も、まずYouTubeに置き、そこから必要な場所へ届けます。この考え方であれば、再生数を競う必要はなくなります。
動画が会社の魅力を引き出す6つの用途
動画は、認知を広げること、会社を紹介すること、社外との関係をつくることのどれにも使えます。文章や写真では伝えにくい、人の話し方や職場の空気、ものが動く様子まで見せられるのが強みです。
企業で動画が役に立つ場面を、用途ごとに整理しました。
| 用途 | 動画にする内容の例 | 主に見る人 |
|---|---|---|
| ブランディング | 創業の思い、事業にかける考え | 取引先、求職者、社員 |
| 会社紹介 | 事業の全体像、拠点や職場の様子 | 初めて会社を知る人 |
| 採用活動 | 社員インタビュー、社員の一日、会社説明会 | 求職者 |
| サービス紹介 | サービスの仕組み、導入までの流れ、事例 | 検討中の企業 |
| マニュアル・操作説明 | 管理画面の操作、機器の使い方 | 導入後のお客様、社員 |
| FAQ | よく聞かれる質問への回答 | 検討中の企業、お客様 |
どれも特別な企画は要りません。すでに営業や人事、カスタマーサポートが毎回口頭で説明していることを、動画にするだけでも価値があります。動画の種類ごとの選び方はBtoBで使う動画の種類と選び方にまとめています。
YouTubeを軸に置く4つの根拠
動画の置き場所はほかにもあります。それでもYouTubeを軸にすすめるのは、次の4つの点で、企業の使い方に合っていると考えるからです。

検索で見つけてもらえる
YouTubeは、検索エンジンを持つGoogleが運営している動画サービスです。Google検索セントラルの「動画の SEO ベスト プラクティス」には、動画がメインの検索結果ページ、動画モード、Google 画像検索、Discoverなど、さまざまな場所に表示されると書かれています。
同じページには、YouTubeなどのサードパーティの動画を自社のWebページに埋め込んだ場合、Googleがその動画を、Webページと動画サービス側のページの両方でインデックス登録することがある、という説明もあります。YouTubeに置いた動画が、YouTubeの中の検索と、Google検索の両方から見つけてもらえる可能性があるということです。
もちろん、置いただけで検索結果に出るとは限りません。それでも、検索から見つけてもらえる入口が増えることは、ほかの置き場所にはない利点だと考えています。
自社サイトに埋め込みやすい
YouTubeヘルプにあるとおり、YouTubeの動画や再生リストは、Webサイトやブログに埋め込んで表示できます。動画ファイルを自社のサーバーに置く必要がなく、YouTubeの画面から埋め込み用のコードを取り出してページに貼るだけで済みます。
よくある使い方は、採用特設サイトやLP(ランディングページ)に、社員インタビューや社員の一日、会社説明会の動画を載せる形です。サービスページに説明動画を、導入事例ページにお客様の声を置くこともできます。1本の動画をYouTubeに置いておけば、複数のページで同じ動画を使い回せます。
限定公開のURLで、届けたい相手にだけ渡せる
YouTubeの動画は、必ずしも一般公開する必要はありません。YouTubeヘルプでは、公開設定として「公開」「非公開」「限定公開」の3つが用意されています。
限定公開にした動画は、リンクを知っている人だけが見られます。チャンネルのホームページの動画タブには表示されず、ほかの人が公開再生リストに追加しない限り、YouTubeの検索結果にも出ません。共有された人は、Googleアカウントを持っていなくても視聴できます。
この仕様を使えば、確度の高いお客様にだけ詳しい説明動画のURLを送る、商談のあとに提案内容を補足する動画を渡す、といった使い方ができます。一方で、リンクを知っている人は、その動画をさらに別の人に共有できる点には注意が必要です。社外秘の内容は限定公開に頼らず、特定のユーザーだけが見られる非公開を選ぶか、動画にしない判断をおすすめします。
パソコンでも見やすく、管理もしやすい
TikTokやInstagramは、スマートフォンで縦型の動画を見ることを中心に作られています。YouTubeはそれに加えて、横長の動画をパソコンの大きな画面で見る使い方にもなじむ媒体です。BtoBの検討は、業務時間中にパソコンで資料と見比べながら進むことが多いため、この違いは小さくないと私たちは考えています。
公開設定の切り替えや限定公開のURLの発行、再生リストの整理といった管理画面の機能が整っていることも、企業にとっては扱いやすい点です。縦型のショート動画も同じチャンネルで扱えるので、SNS向けの短い動画を始めたくなったときにも置き場所を分けずに済みます。ショート動画の考え方はBtoB企業のショート動画活用をご覧ください。
採用、営業、サービス説明での使い方
ここからは、YouTubeに置いた動画を実際にどう使うかを、場面ごとに見ていきます。
採用サイトに置いて、面談の説明を減らす
採用特設サイトやLPに、社員インタビュー、社員の一日、会社説明会の録画を載せておく使い方です。動画を見てから面接に来る人には、制度やキャリアアップの考え方、職場の雰囲気がある程度伝わった状態で会えるでしょう。
そうなると、面談の時間を会社の説明に使う必要が減り、候補者の話を聞くことや、疑問に答えることに時間を回せます。私たちは、採用で動画を使ういちばんの価値はここにあると考えています。会社説明会を動画にする方法は会社説明会を動画にする方法で、採用LPとの組み合わせは採用動画と採用LPの相乗効果で解説しました。
会社の雰囲気を社外に伝える
取引先や求職者が気にするのは、事業の内容だけではありません。どんな人が、どんな雰囲気で働いているのかは、文章や写真では伝わりにくいものです。社員が話す様子や、職場で交わされる会話を短く見せるだけでも、会社の印象は変わってきます。
専門的なサービスほど、動画で説明する
サービス紹介では、専門的な領域であるほど動画が向いています。仕組みが複雑なサービスや、業界の外の人にはわかりにくい技術は、資料の文字だけで伝えようとすると説明が長くなりがちです。画面の操作や、ものが動く様子を見せながら話せば、細かい内容も順を追って理解してもらいやすくなるはずです。
営業が毎回同じ説明をしているなら、その説明を動画にしておき、商談の前に送る方法もあります。商談前に送る動画の構成はBtoBの営業動画の作り方にまとめています。
取引先の事例を、動画で紹介する
営業活動では、取引先の事例紹介にも動画が使えます。導入事例は記事で公開されることが多いものの、動画にすると、話している担当者の表情や声の調子から、サービスの質感が伝わりやすいのです。
公開に慎重な取引先の場合は、限定公開にして商談相手にだけ見てもらう方法も選べます。導入事例動画の作り方は、導入事例動画の作り方を5ステップで解説で詳しく扱っています。
1本の動画を、3つの届け方で使う
ここまでの話をまとめると、YouTubeを軸にした動画マーケティングは、動画をYouTubeに置き、検索、自社サイト、限定公開のURLの3つの届け方に広げる形になります。

- 検索 — YouTubeの中やGoogle検索で、まだ会社を知らない人に見つけてもらう
- 自社サイト — 採用サイト、LP、サービスページ、導入事例ページに埋め込む
- 限定公開のURL — 商談相手や内定者など、届けたい相手にだけ送る
たとえば社員インタビューを1本作れば、採用サイトに埋め込み、YouTubeでは検索から見つけてもらい、内定者には限定公開の補足動画を送る、という使い分けができます。置き場所ごとに別の動画を作る必要がないので、制作にかけた費用を回収しやすくなるはずです。
YouTubeを軸にした動画マーケティングの始め方
いきなりチャンネルを立ち上げて毎週投稿する必要はありません。私たちは、次の順番で小さく始めることをおすすめします。
- 目的を1つ決める — 採用の面談を楽にしたい、商談の説明を短くしたい、など
- 用途を1つ選ぶ — すでにある素材や、予定している撮影から選ぶ
- 届け方を決める — 検索、自社サイト、限定公開のURLのどれで届けるか
- 限定公開から始めてもよい — 一般公開に迷うなら、まず限定公開で社内や商談で使う
- 使われ方を見て広げる — 反応がよかった用途から本数を増やす
2つ目の用途選びでは、新しく撮るより先に、手元にある素材を見直すと始めやすいでしょう。会社説明会の録画、展示会で流した映像、ウェビナーの収録などは、少し編集するだけでYouTubeに置ける場合があります。今後撮影の予定があるなら、その撮影で採用向けとサービス紹介向けの両方を撮れないか、事前に検討しておくとよいでしょう。
一般公開のチャンネルとして続けていく段階になったら、投稿の頻度や企画の組み方、半年後の見直し方を決めておく必要があります。その部分はBtoB企業のYouTube運用で詳しく解説しました。動画マーケティング全体の進め方はBtoBの動画マーケティングの進め方を参考にしてください。
私たちがYouTubeを主軸にすすめる理由
YouTubeは、多くの人が日常的に使い、検索から見つけてもらえ、自社サイトにも埋め込め、届けたい相手にだけURLを渡すこともできる媒体です。パソコンでもスマートフォンでも見やすく、管理の仕組みも整っています。
ひとつの媒体でこれだけの使い方ができる場所は、ほかにあまりないと私たちは考えています。だからこそ、企業の動画マーケティングは、YouTubeを主軸に置いて組み立てることをおすすめしたいのです。
すごい番組を作る必要はありません。会社がすでに伝えたいと思っていること、毎回説明していることを動画にし、YouTubeに置いて、必要な相手に届ける。そこから始めれば、動画は会社の魅力を伝える道具として、長く働いてくれるはずです。
よくある質問
Q1. YouTubeに置くと、誰でも動画を見られてしまいませんか?
公開設定で選べます。YouTubeヘルプによると、限定公開はリンクを知っている人だけが見られる設定で、YouTubeの検索結果にも表示されません。ただし、リンクを知っている人はさらに共有できるため、社外秘の内容は特定のユーザーだけが見られる非公開を選ぶほうが安全です。
Q2. InstagramやTikTokはやらなくてもよいのでしょうか?
目的によります。若い世代に向けた採用や、縦型の短い動画で認知を広げたい場合は、InstagramやTikTokも選択肢になるでしょう。その場合も、動画の置き場所の中心はYouTubeにしておき、各SNSには目的に合わせた短い動画を出す形をおすすめします。
Q3. チャンネル登録者が少なくても、YouTubeを使う意味はありますか?
あると考えています。自社サイトへの埋め込みや限定公開のURLとして使う動画は、登録者の数に関係なく、届けたい相手に見てもらえます。再生数よりも、採用や商談の場面で実際に使われているかを見るのがよいでしょう。
まとめ
主要ポイント
- YouTubeでの発信はエンタメの外にも広がっている — 全年代の利用率は81.5%(総務省情報通信政策研究所の調査)
- すごい番組を作る必要はない — 動画の置き場所と届け方をYouTubeを中心にそろえる
- 動画の用途は幅広い — ブランディング、会社紹介、採用、サービス紹介、操作説明、FAQ
- YouTubeを軸に置く4つの根拠 — 検索、自社サイトへの埋め込み、限定公開、パソコンでの見やすさ
- 1本の動画を3つの届け方で使う — 検索、自社サイト、限定公開のURL
- 小さく始める — 目的と用途を1つ決め、限定公開から始めてもよい
次のステップ
- 社内で毎回口頭で説明していることを書き出し、動画にできるものを1つ選ぶ
- 手元にある説明会や展示会の映像を確かめ、YouTubeに置けるものがないか見直す
- 選んだ動画を、検索、自社サイト、限定公開のURLのどれで届けるか決める
いきなり動画をと言われても、何から始めればよいかわからない会社は少なくありません。Glisでは、マーケティングの視点からの設計に加えて、社内にどう広めるかという社内広報の視点、どのような体制で運用を回すかまで含めて、一緒に考えています。まずは無料相談会のお申し込みからお気軽にご相談ください。
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参考ソース
- 令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書の公表(総務省、2026年6月26日) — YouTube、Instagram、TikTokの利用率
- 令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 概要(総務省情報通信政策研究所) — 調査対象、調査期間、年代別の利用率
- 動画の SEO ベスト プラクティス(Google 検索セントラル) — 動画が表示される検索の場所と、埋め込んだサードパーティ動画のインデックス登録
- 動画のプライバシー設定を変更する(YouTubeヘルプ) — 公開、非公開、限定公開の違い
- 動画と再生リストを埋め込む(YouTubeヘルプ) — Webサイトやブログへの埋め込み