社員座談会の動画は、採用サイトや会社説明会でよく使われる形式です。複数の社員が同じ場で話すことで、1人のインタビューでは伝わりにくい職場の空気や、社員どうしの関係が見えてきます。
一方で、座談会は話が広がりやすい形式でもあります。撮影してみたら話題があちこちに飛び、1時間の素材のどこを使えばよいかわからない、という相談は少なくありません。
この記事では、採用担当や広報の方に向けて、動画にすることを前提にした座談会の組み立て方を解説します。人数と顔ぶれ、進行役の置き方、テーマと質問の順番、席の配置とカメラの台数、テーマ別に短く切り出す編集、公開後の使い方まで順に見ていきましょう。
この記事でわかること
- 座談会動画とインタビュー動画の違い — 座談会で伝わること
- 動画に向く人数と顔ぶれ
- 進行役の置き方とテーマ・質問の順番
- 席の配置とカメラの台数
- テーマ別に短く切り出す編集と、公開後の使い方
座談会動画とインタビュー動画の違い
インタビュー動画は、1人の社員が質問に答える形式です。話の筋が通りやすく、その人の考えや経歴を深く伝えられます。座談会動画は、複数の社員が同じテーマについて話し合う形式で、伝わるものが少し違います。
- 社員どうしの関係 — 先輩が後輩の話を補ったり、同期が笑いながら突っ込んだりする様子
- 職場の雰囲気 — 発言しやすい空気か、意見の違いを言い合えるか
- 考え方の幅 — 同じ質問に対して、立場によって答えが違うこと
マイナビの「2027年卒大学生就職意識調査」(2027年3月卒業見込みの大学3年生と大学院1年生が対象、2025年10月から2026年3月に実施、有効回答37,160件)では、行きたくない会社を2つまで選ぶ質問で「暗い雰囲気の会社」が22.9%でした。「ノルマのきつそうな会社」(39.2%)、「転勤の多い会社」(33.3%)に次いで3番目に多い回答です。
職場の雰囲気は、求人票や会社案内の文章では伝えにくい情報です。社員どうしのやりとりを見せられることが、座談会動画のいちばんの強みでしょう。逆に、1人の経歴や仕事への考えを丁寧に伝えたいなら、インタビュー動画のほうが向いています。採用向けのインタビュー動画の構成は、インタビュー動画の作り方 — 採用向け5分尺の構成パターンで解説しています。
動画に向く人数と顔ぶれ — 2人から4人が目安
座談会イベントでは5人以上が参加することもありますが、動画にする場合は、進行役を除いて2人から4人程度が一般的な目安です。人数が増えるほど、1人あたりの発言が短くなり、画面に誰が映っているのかもわかりにくくなるためです。
| 人数 | 向いている内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 2人 | 先輩と後輩の対談、上司と部下の対談 | 話が一方に偏りやすい |
| 3人 | 同期の座談会、部署をまたいだ座談会 | 進行役が全員に話を振る |
| 4人 | 職種の違いを見せる座談会 | 発言の少ない人が出やすい |
顔ぶれは、何を見せたいかから決めます。
- 入社後の成長を見せたい — 入社1年目、3年目、5年目のように、年次の違う社員を並べる
- 仕事の幅を見せたい — 営業、開発、管理部門など、職種の違う社員を集める
- 入社前と後の印象を伝えたい — 年の近い若手社員を中心にする
注意したいのは、役職の差が大きい組み合わせです。部長と新入社員が並ぶと、若手が遠慮して当たり障りのない答えになりがちです。上司と部下の対談にする場合は、2人の普段の関係が近いかどうかも確かめておきましょう。出演者一人ひとりの選び方は、社員インタビュー動画の出演者選びにまとめています。
進行役の置き方 — 誰が、どこまで仕切るか
座談会の話が散らかるかどうかは、進行役でほぼ決まります。進行役の置き方には、主に3つの選択肢があります。
- 採用担当や広報が務める — 出演者と顔見知りで、話を引き出しやすい。画面に映るかどうかを先に決めておく
- 出演者の1人が兼ねる — 自然な会話になりやすいが、本人が話しながら時間を管理するのは難しい
- 外部のインタビュアーに頼む — 社内の事情に縛られず質問できる。事前に会社や出演者のことを共有しておく
動画の場合、進行役が画面に映らない形にすることも多くあります。その場合、進行役の質問は編集でテロップに置き換えるため、出演者には「質問の内容を含めて話し始めてください」と伝えておきます。
進行役の役割は、質問を読み上げることだけではありません。
- 発言の少ない人に話を振る
- 話がテーマから外れたら、元の質問に戻す
- 1つのテーマにかける時間を管理する
- 出演者どうしの掛け合いが始まったら、遮らずに待つ
とくに最後の点は、座談会ならではの判断です。予定の質問を順番に消化するより、出演者どうしの自然なやりとりが生まれた場面のほうが、動画として印象に残ります。
テーマの決め方と質問の順番
座談会を動画にするときは、1つのテーマが1本の短い動画になるように組み立てます。テーマは3つから4つ程度に絞り、1テーマにつき10分から15分を目安に話してもらうと、編集で3分前後の動画にまとめやすいでしょう。
テーマの例を挙げておきます。
- 入社を決めた理由
- 入社前と入社後で印象が違ったこと
- 仕事で大変だったことと、そのときの周りの助け
- これから入る人に伝えたいこと
質問の順番は、答えやすいものから始めるのが基本です。
- 自己紹介 — 名前、所属、入社年を一人ずつ話してもらう
- 答えやすい話題 — 入社を決めた理由など、事前に考えてきやすい質問
- 本題 — 仕事の中身、大変だったこと、チームでのやりとり
- 本音に近い話題 — 入社前の印象との違い、今の課題
- 締め — これから入る人へのひとこと
本音に近い話題を後半に置くのは、場が温まってからのほうが話しやすいためです。また、全員に同じ質問を順番に聞くと単調になりやすいので、1人に聞いたあとで「〇〇さんはどうでしたか」と他の人に振る形を混ぜると、会話らしい流れになります。個別の質問の作り方は、失敗しないインタビュー動画の質問項目10選を参考にしてください。
席の配置とカメラの台数
座談会は、席の配置で映像の見え方が大きく変わります。会議室の机を挟んで向かい合うと、カメラから見て誰かが背中を向けることになるため、動画には向きません。

- 2人 — カメラに対して、2人をハの字に向かい合わせて座らせる
- 3人から4人 — 浅い半円に並べ、全員の顔がカメラから見えるようにする
- 進行役 — 半円の中心、カメラの横に座る。出演者の目線が進行役に集まり、横顔になりすぎない
カメラの台数は、人数より少し多めに考えるのが目安です。
| 人数 | カメラの台数の目安 | 画角 |
|---|---|---|
| 2人 | 3台 | 引き1台、それぞれの寄り2台 |
| 3人 | 3台から4台 | 引き1台、寄り2台から3台 |
| 4人 | 4台から5台 | 引き1台、寄り3台から4台 |
引きの画角は全員の関係や反応を、寄りの画角は話している人の表情を映します。座談会では、話している人だけでなく、聞いている人がうなずいたり笑ったりする表情も素材として欠かせません。寄りのカメラの台数を減らす場合でも、引きの画角だけは常に全員が入るように置いておきます。
音声は、出演者一人ひとりにピンマイクをつけるのが基本です。発言が重なったときも、あとから誰の声かを分けて調整できます。縦型の短い動画に使う予定があるなら、寄りの画角で人物を画面の中央に置いておくと切り出しやすくなります。撮影当日の準備は動画撮影当日のチェックリストにまとめました。
撮影当日の進め方 — 話が散らからないための工夫
座談会は台本を細かく作りすぎると、読み上げているような硬い会話になります。出演者にはテーマと質問だけを事前に共有し、答えの内容は本人に任せるくらいがちょうどよいでしょう。
当日は、次の点を意識すると話がまとまりやすくなります。
- 本番前に15分ほど雑談の時間を取る — 出演者どうしの緊張がほぐれ、本番の会話が自然になる
- テーマごとに区切って撮る — 1テーマが終わるたびに一度止め、次のテーマの質問を確認する
- 発言を重ねないようお願いする — 相づちは歓迎しつつ、話している途中に別の人が話し始めないようにしてもらう
- 社外に出せない話はその場で止める — 顧客名や社内の数字が出たら、撮り直すか編集で外すことをその場で確認する
テーマごとに区切って撮ると、編集の段階でテーマ別の動画に分けやすくなります。また、話がうまくまとまらなかったテーマだけを撮り直すことも可能です。
テーマ別に短く切り出す編集
座談会の素材は、1本の長い動画にまとめるより、テーマごとに短く切り出すほうが使い道が広がります。

- 本編 — 全テーマを10分前後にまとめた動画で、採用サイトや説明会で使う
- テーマ別の動画 — 1テーマを3分前後にまとめた動画で、採用サイトの該当ページや、エントリー後のメールで使う
- 縦型の短い動画 — 印象的な掛け合いを30秒から60秒に切り出した動画で、SNSで使う
編集で気をつけたいのは、次の3点です。
- 名前と入社年をテロップで出す — 話し始めるたびに表示すると、誰が話しているかがわかりやすい
- 掛け合いを残す — 発言だけを並べると、インタビュー動画を複数つなげたような印象になる。笑いや相づちの場面も入れる
- 発言量のバランスを見る — 特定の人の発言が多くなりすぎないよう、テーマごとに偏りを調整する
縦型の短い動画は、1人の発言だけでなく、2人のやりとりが一往復で完結している場面を選ぶと、座談会らしさが伝わります。再生されるショート動画の企画と冒頭の作り方は、BtoB企業のショート動画活用で詳しく扱っています。
公開後の使い方 — 採用サイト、説明会、SNS
座談会の動画は、置き場所ごとに使う長さを変えます。
- 採用サイト — 本編を社員紹介のページに置き、テーマ別の動画を職種紹介や制度紹介のページに置く。採用サイトでの配置は採用動画と採用LPの相乗効果を参考にしてください
- 会社説明会 — 説明の合間にテーマ別の動画を流すと、社員の声を短時間で伝えられる。説明会の録画との組み合わせ方は会社説明会を動画にする方法で解説しています
- SNS — 縦型の短い動画を投稿し、採用サイトの本編へ案内する
- 選考中のフォロー — 面接の前後に、応募者の職種に近い社員が出ているテーマ別の動画を送る
選考の段階ごとの動画の使い方は、内定承諾率を上げる動画の使い方でまとめました。新卒向けの構成の考え方は新卒採用向け動画の作り方も参考になります。
公開する前には、出演した社員全員に完成した動画を確認してもらいましょう。座談会は複数人が映るため、1人が公開を望まなくなると、その動画全体が使えなくなる場合も考えられるでしょう。公開範囲や退職後の扱いを撮影前に決めておく方法は、社員が出演する動画の肖像権と著作権で詳しく解説しています。採用動画を含めた動画全体の進め方は、BtoBの動画マーケティングの進め方にまとめています。
よくある質問
Q1. 座談会動画の長さはどのくらいがよいですか?
置き場所によって変えるのがおすすめです。採用サイトの本編なら10分前後、テーマ別の動画なら3分前後、SNSの縦型動画なら30秒から60秒が目安になります。1回の撮影から、この3つの長さを作り分けると使い道が広がります。
Q2. 出演者が緊張して話が盛り上がらない場合はどうすればよいですか?
本番前に雑談の時間を取り、カメラを回し始めてもしばらくは練習のつもりで話してもらう方法があります。普段から一緒に働いている人どうしを組み合わせることも、会話を自然にするうえで効果的です。
Q3. 進行役は社員と外部のどちらがよいですか?
社内の事情に詳しく出演者と打ち解けやすいのは社員、社内では聞きにくい質問ができるのは外部のインタビュアーです。本音に近い話を引き出したいなら、外部に頼むことも検討してみてください。
まとめ
主要ポイント
- 座談会動画の強みは社員どうしのやりとり — 職場の雰囲気や関係が伝わる
- 人数は2人から4人が目安 — 役職の差が大きすぎない組み合わせにする
- 進行役が話の流れを決める — 話を振り、テーマに戻し、掛け合いは遮らない
- 1テーマを1本の動画にする前提で組み立てる — 答えやすい質問から本音へと順番を決める
- 席は浅い半円、カメラは引きと寄りの組み合わせ — 聞いている人の表情も素材になる
- テーマ別に切り出して置き場所ごとに使う — 本編、テーマ別、縦型の3つの長さ
次のステップ
- 座談会で見せたいことを1つ決め、それに合う顔ぶれを書き出す
- テーマを3つか4つに絞り、質問の順番を組み立てる
- 撮影場所の広さを確かめ、席とカメラの配置を決める
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参考ソース
- 2027年卒大学生就職意識調査(マイナビキャリアリサーチLab、2026年4月) — 行きたくない会社の回答割合